月夜見山荘/おすくにのブログ

南アルプスの麓、日本で最も人口が少ない町・山梨県早川町に移住して20年。地域の人たちから教わってきた山の暮らしの知恵や技術を継承するために、山の暮らしの豊かさを分かち合うるオーベルジュ(宿泊施設のある飲食店)を2019年1月に開設。このブログでは、私たちの暮らしぶりや四季折々の山の恵みを紹介していきます。

私たちが営む「月夜見山荘」と「おすくに」がある山梨県早川町(はやかわちょう)。ここは、南アルプスの山懐に抱かれた、日本一人口の少ない町です。

南アルプスの3,000m級の山々は、ここで暮らす人々に豊かな山の恵みをもたらしつつも、 ときに牙を剥き、山の民に生きる知恵と技術、そしてたくましさを育ませました。
早川町には、厳しくも豊かな自然の中で、先人たちが長い年月をかけて培った、 山で豊かに暮らすための生活の知恵や技術、そして精神が今も息づいています。
そうした暮らしは、賢く、美しく、潔く、とても心豊かです。

「月夜見山荘」と「おすくに」を訪れていただいた皆様には、 私たちが感じてきた「山の暮らしの豊かさ」で、 精一杯おもてなしさせていただきます。


【南アルプスの山ふところで、宿と食堂を営む理由】
早川町は、背後にある3,000m級の連山がつくり出す、迫力ある渓谷の真っただ中にあります。

しかし、この厳しくも魅力的な大自然のふところを『生きる地』と選んだ先人たちが、長い時をかけて培った、愛すべき暮らしぶりなら満載の町でもあります。
さまざまな生活の知恵や技術、驚くべき勇気と根気、想像もしなかった日常の娯楽や山ならではのグルメ…。それらに魅了されて移住し、20年が経ちました。

しかし、20年前と今とでは随分と状況が変わってきています。
私達が愛おしく思う山の暮らしは、やはり急速に失われつつあるのが現実です。
それを失いたくないなら、やはり今こそ、私たちに相応しいやり方で、山の暮らしの価値と魅力を人々に伝え分かち合うための挑戦をしてみたい、と思いました。それが、この宿と食堂です。

この地の住まい方を記憶する古民家でお過ごしいただきながら、何か共感するものを見つけていただけたら。四季折々の料理を味わいながら、土地の恵みを大切に思っていただけたら。
移住20年目にして決断した、私たちなりの、山の暮らしの受け継き方です。

狭隘な山ふところは、日の出は遅く、日の入りは早い。畑も干し物も外遊びも、短い日照時間を大切に営まれます。人工物の喧噪から隔絶している深山の夜空は、晴れれば星は砂の数のごとく瞬き、月光であらゆるものの陰がつくり出されます。
一方、月が出ない夜は、一歩も先に足が出ないほどの漆黒の闇に包まれます。現代でもこんな夜が味わえるのです。

月は山人の長い夜を彩り、昔から最も身近な暦であり、たくさんの想像力をかき立ててきました。山の民の夜なべ仕事は、お月様との長い対話の時間でもあったと想像します。

私たちの暮らす集落の氏神様は、奇しくも月夜見命(つくよみのみこと)。
宿の名「月夜見山荘」、食堂の名「おすくに」は、最も身近な氏神様から拝借いたしました。

月夜見山荘での御滞在、おすくにでのお食事を通し、皆様と『山の暮らしの豊かさ』を分かち合うことができましたら、それ以上の喜びはございません。

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